[OPNION] 大阪市、市立幼稚園廃止計画と保育料大幅値上げ

大阪市では市内の59の市立幼稚園の廃止を目指すところ、反対意見が大きいことからまずは19園の廃止案を進めているらしい。
子供の数が減って、幼稚園が維持できないのならしょうがないことだろう。

ところがここへ来て橋下大阪市長が打ち出した廃止反対派の封じ込め作戦が、市立幼稚園の保育料大幅値上げである。実に2.7倍になる可能性がある。

朝日新聞の報じた記事はこちら

果たして、それは正しいのか考えてみた。

大阪市の策定した「市立幼稚園民営化計画(案)の基本的考え方」(PDF)を見てみた。

民営化と書いてあるが、基本は廃園で、廃園出来ない条件のところは民営化するという話だ。公的施設の民営化と言えば、郵政民営化や道路公団民営化みたいに「税金無駄使いの温床を民営化によって正す」みたいな良さそうなイメージになるが、市立幼稚園民営化計画とは、正確にいうと市立幼稚園という行政サービスの廃止であって、市民へのサービス低下である。

大阪市では8割の幼稚園児が私立幼稚園に行っているらしい。市立は2割に過ぎないのだ。
小中学校と違って幼稚園は行政が用意する義務ではない学校なので、自治体にもよるが市立と私立の割合に大きな差がある。

大阪市がどうなのかはわからないが、地域によっては公立と私立の選択は、貧富の差になっているところもあるらしい。
公立の子供たちは行儀も悪く、親もそれなりの風体をしている。
それに比べて私立は子供たちも行儀がよく、親の身なりも小奇麗である。

だから親たちは3倍近い保育料を支払ってでも私立幼稚園に入れるということらしい。
その反面、経済的に余裕のない家庭の子供たちは公立幼稚園に行かざるを得ない、という構図らしい。

哀しいこの経済社会の縮図が幼い幼稚園児たちのところに現われている。

さて大阪市に話を戻すと、大阪市立幼稚園の園児一人あたりの年間運営費は68万円かかり、私立は55万円らしい。これに入園料年間間保育料が、市立で11.5万円、私立は34.6万円だそうだ。
これでは赤字なので公費(市・県・国)から補助金があり、市立は57万、私立は29.6万円行政から入る。

ここで、市立の運営費が私立より大きいのが不思議なのだ。なぜ?

市立と私立の幼稚園のサービスの差も紹介されている。

  • 3歳児学級は市立は6割、私立は全てが実施。
  • 空調機(エアコン)は市立1園のみ、私立は設置が標準(設置率は不明)
  • 預かり保育は、市立は8時間までで早朝・土曜は未実施、私立は10時間、早朝5割・土曜2割実施
  • 給食は、私立はPTAの自主事業、私立は平均週4日実施
  • 送迎バスは、市立は無し、私立は6割が実施

この資料は市立幼稚園を廃止したい大阪市職員がまとめたものなので偏っている可能性もあるが、不思議なことに、サービスは明らかに私立の方が充実している。なのに運営費は市立のほうが高いという。

大阪市では、市の行政サービスとしての幼稚園運営は私立比べてもとても貧弱な内容になっている。

にもかかわらず運営費は高いという。運営費が高いので廃止して民間に受け入れさせるということだが、運営費が異常に高いことをまず解消すべきじゃないだろうか。

市立幼稚園が無くなり、私立幼稚園だけになったら何が起こるだろう。
幼稚園に通わせてもらえない子供が増加し、幼稚園で通常行われている情操教育が受けられず、幼児教育が欠如した状態で小学校に入ってくる子供と、幼稚園に通った子供との軋轢がおきる。
私立の保育料の値上げと、過当競争。
私立幼稚園でも、保育料は安いが手抜き保育な園が出てくる。

そういうことなので、市立幼稚園が無くなるということは私立幼稚園に通わせている世帯にも影響してくる話だと思う。