キャンプ用品につきものなのが「ストーブ」である。日本ではストーブって言うと暖房器具と思う人が多いかもしれないが、わかりやすく言うとコンロである。
コンロにもいろいろあり、シングルかダブルか、ガスかガソリンかと、いろいろ用途によって選べる。
東日本震災で注目を集めているのが防災グッズだが、その中でもストーブ(コンロ)は重要なもののとなっている。東日本震災ではカセットコンロのカセット(ガス)やガソリンの入手で困った被災者も多かっただろう。
ここで取り上げるストーブは、燃料はガスでもガソリンでもない。安全に燃えるものなら燃料にできるストーブを2機種取り上げる。ひとつは既に販売されてきた”VitalStove”と、最近発売された話題の”BioLite Campstove”である。
両商品の特徴
「木や板切れを燃やすコンロなら、焚き火でいいんじゃね?」と思うかもしれないが、今回取り上げるストーブは両方とも、空気を流し込む事で燃焼効率を格段に上げている。これには次の効果がある。
- 火をつけやすい
- 燃えカスがとても小さくなる
- 火力が強い
木や板切れなんてのは、意外と燃えにくいものだ。焚き火では、火がついても、炭状の燃えカスは大きく残る。火を強くしようと思うと、それだけ燃料となる木や板を投入しなければならない。
Vital Stoveも BioLite Camp Stoveも、電気でファンをまわして空気を送り込むところは同じだが、大きく異なるのは、Vital Stoveは単三乾電池が二本必要だが、BioLite Camp Stoveのほうは熱電装置が付いていて、火を燃やす事で発電してファンをまわす。(おそらくペルチェを使っていると思われる)
Vital Stove
Vital Stoveは、裏返すと下の部分にコンロの土台が収まっている。右側が裏。
ちょっとギッチリはまってて取り出しにくい土台をはずし、開いた後に本体の上に乗せ、電池ボックスをつなげるだけで準備完了。
電池ボックスにはファンの強弱が選べるスイッチが付いている。
組み立てたVital Stoveは、けっこう大きな鍋やフライパンでも大丈夫なくらい頑丈である。
BioLite CampStove
アメリカからUPS/クロネコヤマトを通じて五日間で届いたパッケージは次のようなものだった。うちに届いたのは既にキャリーバッグに入っている状態だった。
取り出した中身はこんな感じ。
マニュアル、パワーモジュール(オレンジ色のユニット)、USBケーブル、ポットスタンド(コンロ)が入っていた。
USBケーブルはオス・オスになっていて、なんに使うんだろう?と思ったが、初期充電用だった。
パワーモジュールにはバッテリーが内蔵されていて、最初にPCなどから充電しておかないといけない。
これはおそらく、火をつける前からファンをまわすためと、USB給電をするときに安定供給するためと思われる。
最初、これを知らなくてすぐ使い始め、なかなかUSB給電できなくて不良品かと思った。
さて、各部分の説明。
ポットスタンドは、外装部分と灰皿部分が取り外せるようになっている。使い終わったばかりだと熱膨張していて外れないが、冷えると取り外せる。
ポットスタンドの足は、写真だと弱そうに見えるが、けっこうガッチリとしていて、重い鍋を載せても大丈夫。
次にパワーモジュール。
左から順に、表側。上のほうに空気取り入れ口、BioLiteのロゴの下に電源・モード切替ボタン、その下にUSBコネクタが付いている。
真ん中は裏側。この部分がポットスタンドと接する。ユニコーンの角みたいに出てる部分と根元の銀色の部分が熱電ユニットらしい。この角がコンロの火の中に飛び出す。
右端の写真は、送風口である。これがポットスタンドの中に空気を送り込む。
組み立ては簡単である。
熱電ユニットの角を、ポットスタンドの穴に合わせて挿入し、パワーユニットの下の引っかけをポットスタンドの足の一つにはめ、足を開くだけである。
組み立て完了。
ちなみに片付けた状態はこんな感じで、パワーユニットをポットスタンドの中に入れる。
重量は1kg弱である。
性能比較
今回テストしたのは、500mlの水を同じ量の燃料でどれだけ温められるか、である。今回はLo対決。
今回の燃料は、草刈した後に乾燥させた雑草の茎である。木切れも用意していたが、まだ乾燥が十分ではなかったので、燃えやすい枯れ草にした。
まずVital Stoveから。水温は29度からスタート。
Vital Stoveのいいところは、隙間から燃料の投入ができる事である。燃え尽きそうになる度に次々と投入。
燃料は10分程度で無くなってしまったが、そのときの温度は65.2度であった。
ちょっといまいちな結果であった。
次に、BioLite CampStoveをテスト。燃料を入れ、着火材に火をつけて投入し、ファンのスイッチを入れるとたちまち大きく燃え始める。
このサイズの小さな鍋だと、BioLiteのポットスタンドにぴったりはまるため、隙間がない。そのため、燃料の投入には鍋をそのたびにどかす必要があった。
燃料投入がやりにくいからか、BioLiteのほうは12分くらいかかって全部燃焼した。そのときの温度が、90.9度である。もう少し燃料があれば沸騰しただろう。
ちなみに、他の燃焼テストのため、板などを燃やしてみたが、けっこう大量に燃やしたにもかかわらず、燃えカスは下の写真のように、ほんの一握り程度になった。
両方とも、一見して燃え尽きてしまったと思うときがある。そのときは燃えやすい燃料を入れてちょっと待つと、消えていた火が復活してまたボーボーと燃え出した。
比較結果
ここまでの比較結果では、暖める能力はBioLiteのほうがはるかに高いようだった。これはテストで使った鍋が、BioLiteのポットスタンドとぴったりの大きさで、火力を逃さなかったからだと思われる。
逆にVitalStoveのほうは、火が大きくて横からはみ出す事も多かった。
どちらが優れていると断言はできないが、VitalStoveは大きな鍋やフライパンでの料理に適していて、BioLiteのほうは小型のやかんや鍋に向いていると思った。
なお、両方ともAmazon.co.jpでは売ってません。
来週は、Hiモードでの対決と、BioLiteのUSB給電をテストしてみたいと思う。