社長島耕作の原発宣伝考察

モーニングで「社長島耕作」が、さっそく東日本大震災のネタを使っていて、その内容がまるで経団連や原発関連業界のために嘘の情報を出して、原発が正しいという印象付けをしていたので考察してみる。

もともと「生々しいオフィスラブエロマンガ」だった「島耕作」シリーズだが、島が出世するに伴って政治経済職を強め、はっきりそれとはいわずに架空の名称を使って、自民党を擁護し、民主党を批判する内容が増えている。

過去にも作品のストーリーとは全く関係なく、経済界のお偉いさんたちがゴルフをラウンドしながら雑談をし、その中で現政権を批判するというだけの話もあったほどだが、今回は島耕作がテレビで原発に関する議論を見ているというシチュエーションで、ストーリーとは全く関係ない。

作中のテレビの内容は、原発反対派が感情的に反対論を言うのに対して、推進派が冷静的に淡々と原発以外はないと述べるという、島耕作ではよく使われる手法。これにより、反対派は感情で間違っていることを述べ、推進派は論理的に正しい判断をしているという印象付けをしている。

「火力発電所を一基作るのに10年かかる」

10年もかからない。通常は2,3年ってところ。LNG火力発電所だと、もっと短期間らしい。
ちなみに、原発の場合は、設計から営業運転まで10年を要し、建設には4年くらいだが、建設地域の住民の同意を取り付けるまでの期間を入れると10年では済まないだろう。

「原子力発電所は一基作るのに3千億円ですみます」

原発一基100万KWで3千億というのは妥当な数字だが、これに付随する周辺コストはもっとかかる。使用済み燃料を保管する場所の建設や保管のためのコストがかかるし、寿命が来て廃炉となった場合には莫大なコストと数十年規模の期間を要する。現状、廃炉はせずに修繕を繰り返しながら使い続けられる。

そして、その原発6基分で1兆円以上だが、壊滅して制御不能状態に陥り、その事故の影響で数兆円以上もの損害が出ている。

「風力だと4千基。琵琶湖の1/3の面積を要し、これを立てる費用は約1兆円」

よく見かける風力発電1基で2万Wなので、500基である。1基3億円ほどだが、変電所等も含めて5億とするなら、2500億円である。もちろん琵琶湖の1/3の面積なんて広さは必要ない。例えば海上に建設することも可能である。

「太陽光だと住宅用に換算すると190万軒。これに必要な費用は6兆円かかります」

シャープのND-160BAは1枚160Wで7万円ほど。一般家庭で3.5KWとすると、22枚で154万円。パワーコンディショナーや土台も含めると、200万円というところか。100万KW分だと、およそ29万軒なので、5800億円。発電効率を半分近くに過小評価したとしても60万軒で1兆2千億円。
ただし、これは定価での計算であり、量産効果等も考えると、1兆円はかからないと思われる。原発よりは高額だが、燃料コスト、運用コストは劇的に低い。

「火力発電所は安定供給の面では原子力と同じですが石油が中東に集中している以上…」

LNG火力発電は効率がよく、CO2排出量も少なく、原発1基相当の建設費も2000億円くらい。日本周辺にも埋蔵量が多いと思われる。

おそらく作者の弘兼は「火力」=「石油」という思い込みで書いていると思われる。

調べてみると、日本のあるべき電気エネルギー産業は、最終的な答えは原発ではないと思う。
現在の火力発電所をLNG火力発電に改造し、中東に頼らない日本近海のLNGを利用するのがメイン。
その一方で風力発電所を増やし、家庭へは太陽光パネルの設置を進める。
これらを原発に投資してきた分のコストで十分実現が可能であり、原発でこれから半永久的に払い続ける廃棄物の処理保管コストを考えると、なぜここまで苦労して損してまで原発を推進してきたんだろうと思ってしまう。

極論で、「原発を推進するのはいつか核兵器を所有するためにプルトニウムが必要だからだ」という意見もあったりするが、それ以外に「原発しか考えられない」という理由が思いつかない。
「安定供給できる」という意見も多いが、実際、この10年間原発が安定供給できていないせいで電力不足が発生している現実がある。

1 Comment

  1. 匿名さんのコメント。
    メールアドレスが無効だとコメントは反映されないので、引用で。

    >御存知とは思いますが、
    >「弘兼憲史」さんと「みうらじゅん」さんは別人です。
    > http://www.tepco.co.jp/pavilion/energy/

    「みうらじゅん」さんが出てくるのは謎ですが、東電のPRで弘兼憲史がこれだけ東電の宣伝に
    ぺったりと協力しているってことがわかると、「島耕作」でも原発宣伝する理由がわかりますね。

    一部しか見てませんが、6話、13話、14話とか、今見ると痛々しい内容です。
    今でも見ることができる状態ですが、恥ずかしくないのかな。

    原発1基100万KWを太陽光発電でやるとしたら67万Km^2が必要との話ですが、これも計算してみました。
    本文中のND-160BAで計算すると、効率50%としても、100万KW発電のためには1250万枚必要。
    面積は1枚1.1m^2なので、100万KWのための面積は1.375万KM^2でした。
    大規模なパワーコンディショナーも必要だとしても、60万Km^2なんて必要ないと思われます。
    原発に求められる夏場昼間の電力需要ピークですが、需要が高まる条件的には太陽光発電も結構発電してるはず。

    ちなみに福島第一原発事故で警戒区域に指定された半径20kmの地域の半分が海だとしても、広さは628万Km^2。

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