産科医に無罪判決

帝王切開で、出血多量となって母親が死亡し、執刀した産科医が逮捕された事件で、福島地裁で無罪判決が出た。
この問題、実に複雑で賛否両論がある。

妊婦となった妻は、「妊婦さんを殺した医師が無罪になった。酷い」と言っていた。まぁ、自分が妊婦さんだから遺族寄りの気持ちになっても仕方ない。でも、その事件の詳細を知らないし、医療の専門でもないので一概に医師が悪いとも私は言えない。
裁判なんてウソや都合のいい事実だけ出すことなんて常套手段だし、本当に酷い医療ミスであったのかなんて素人には判断できないし、裁判官だって判断できない。
結局裁判官を納得させることができたほうが裁判で勝つだけ。
裁判で、この医療行為が重大な過失致死といえるのか証言するのも医師であり、医師はやはり医師に偏ってしまうことも否定できない。
そのため、医療裁判で医師を訴えて勝てる可能性は大きくないとも。

さて、この事件が複雑なのは、警察・検察・マスゴミの異常な事件化によるものが大きい。
医療ミスで民事訴訟、というレベルのものではなく、過失致死などよる刑事逮捕で、しかも逃亡や証拠隠滅の心配の無い医師を、手錠を掛けて連行する映像を全国に流した。これにより、日本の産科が危機に陥ったともいえる。そういう映像が得られたのも、事前に検察・警察からマスゴミへ撮影に来るよう、呼びかけがあったからだろう。
この報道の後、産科医を目指す人が激減し、産科を廃止する病院も急増した。

愛する人を医療で失った遺族の気持ちは分かる。
しかし、この事件の結果、産科医が激減し、産科自体も減り、夜間の緊急救命で駆けつける妊婦は、この事件のようなリスクを恐れた病院からことごとく断られ、たらいまわしにされた挙句、遠く離れた隣の県の病院に運ばれたが、時間がかかりすぎて死亡するという悲しすぎる事件のきっかけともなっている。
(かかりつけの産婦人科のない妊婦が夜間に緊急搬送される場合、検診を受けていない可能性が高く、難しい治療が必要なケースが多いため、リスクがとても高い)

この一件の医療事故による事件化が、日本全国の産科に大きな悪影響を与えてしまった事実が判決に影響したのかは、私は裁判官ではないのでわからない。
しかし、産科医療の崩壊のきっかけの一つになったのは間違いないようだ。
いったい、この影響で何人の妊婦が命を落とし、赤ちゃんが生まれてこれない結果になったのかはわからない。

医療ミスで大事な人を失ったら、遺族としてはその医師に責任を取って貰いたいと考えるのは当然だろうし、自分でもそうするだろう。
しかし、あまりに酷い医療ミスを繰り返す医師でもない限りは、医師としての医療現場に復帰して貰ったほうが他の患者さんにとってはいいはずだ。
訴えられた結果、その医師は自分の至らないところを改善するだろうし。

しかし、命を救うことができなかったら即アウト、というのでは、どんどん医師がいなくなってしまう。
1回のミスを理由に、いきなり逮捕して医師としての人生から抹殺するというのは、医療崩壊を招くと思う。
「それじゃ、医療ミスをしてもいいのか」と言われそうだけど、医師が激減してリスクのある治療をせず、医療放棄された結果、腕の確かな医師に負担が集中して医療ミスが発生する確率が上がるのも問題だ。

この無罪になった医師の場合、たった一人の常勤産科医として勤め、若いながらも1200例も分娩を取り扱っていた。死亡した産婦の遺族以外からは、評判も良かったとされている。
出産は、時間を選んだり、順番を待ってたりすることはない。24時間、平日・休日なんて関係ない。外来のように、受付時間が過ぎたので、明日また来てくださいとも言えない。

妊婦となった妻としては、死亡した産婦寄りの気持ちになって心配するのは当然だが、逆に「安心して産科に任せられる」ようになって欲しいので、(この判決をもって)産科医の数が回復して欲しい、と私は思う。

2 Comments

  1. これで少しゆりもどしてくれるといいのですが・・・

  2. 妊婦の検診、出産費用の無料化を検討するらしいです。
    これで検診率が上がり、検診を受けずに難産になる妊婦も減ってくれればいいですね。

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