米軍構成員の犯罪率は、日本側には隠されているためにわかりません。
基地内外を頻繁にパトロールしている軍警察(MP)が検挙した件数は、沖縄県警の統計には含まれていません。
そのため、沖縄県警の数字だけで比較できるものではないことは明らかですが、産経系のメディアで歪んだ分析が繰り返し報じられた結果、米兵よりも沖縄県民の犯罪率のほうが高いと言われるに至り、沖縄としてはセカンドレイプに遭っている状態です。
沖縄県警が公表している刑法犯検挙人数があります。前述の通り、米軍構成員の検挙人数は、実態とは大きくかけ離れていますが、これを前提に考えてみます。
平成23年と、ちょっとデータは古いですが、在沖米兵(25,843人)、軍属や家族を含めた米軍構成員(47,300人)という数字を母数にします。
これより減っていることはあっても、増えていることはないと思われます。
沖縄県民の人口は、最新の国勢調査では2016年4月1日で142.7万人です。
沖縄県警の刑法犯検挙数は、全体と、外国人、米軍構成員(軍人、軍属、家族)の3種類がありました。
全体の数字には、米軍構成員の分も含まれていると思われますし、そもそも県民だけの検挙人数でもありませんから、沖縄県民以外の日本人の検挙数も含まれていますので、これで沖縄県民の犯罪率を算出できるものではありません。
それが分かったうえで、あえて沖縄県の人口で話を進めます。
平成27年の検挙人数と、先に説明した在沖の人数で計算してみた結果です。全体の検挙人数からは軍構成員の分は差し引きました。
罪種 | 軍人 | 軍構成員 | 軍以外 |
刑法犯全体 | 24人(0.092%) | 42人(0.089%) | 3253人(0.23%) |
凶悪犯 | 4人(0.015%) | 4人(0.0085%) | 57人(0.004%) |
粗暴犯 | 6人(0.023%) | 9人(0.019%) | 669人(0.047%) |
窃盗犯 | 7人(0.027%) | 20人(0.042%) | 1850人(0.13%) |
まず、刑法犯全体でみると、軍人0.092%、軍構成員0.089%に比べて、それ以外は0.23%と倍以上になります。一見して、米軍のほうが犯罪率が低いように見えます。
ところが凶悪犯の部分に着目しましょう。
殺人や強盗、強姦のような凶悪犯罪の場合は軍以外では0.004%しかないのに対して軍人0.015%と4倍近く極端に高くなっています。
これは何故でしょうか?
米兵による犯罪は凶悪犯が多いだけ?
いや、それだけでもないようです。
日本において、起訴率はだいたい45%くらいのようです。
ところが米兵が日本で逮捕された場合になると、起訴率は13%とかなり低くなります。沖縄では22%と少し高くなっていますが、それでも日本国民の起訴率と比べると半分です。
その背景には日米地位協定が影響していそうです。
日地米地位協定によって、米軍構成員による刑法犯の場合、それが公務中であったり、先に米軍側が確保した場合には日本には捜査権がありません。
ここで、度重なる米兵による凶悪犯罪に対する抗議により、日米地位協定上でも米軍側が凶悪犯罪については日本側に配慮するようになり、身柄を引き渡したり、捜査に協力するようになり、起訴率が高くなりました。
つまり、日米地位協定においても、凶悪犯罪の数字だけは実態に近いものになっているということを示しています。
日米地位協定という壁がなくなり、米軍構成員の起訴率が日本人並みに上がって倍になったらどうなのか、基地内の犯罪の数字も加えたら数字がどうなるのか、とても興味深いところ。
個人的には