[OPINION] 基地の見返り事業、頓挫す

 時の仲井真県政時、表向きは辺野古基地建設に反対している仲井真知事を承認に向けて後押しするために安倍政権は沖縄県に対し、国が使途を審査しない一括交付金を特別に交付することになった。
 さぞかし沖縄県は喜んだかと思いきや、逆に困りに困りきった。
 使い途(みち)が無い。

 必要があって要求したお金ではなく、降ってきた予算だから当然だ。自由とは言っても大まかな分野は決まっている。
 今回の場合は情報産業関連事業だ。
 そこで県内IT企業にアイディアを出すように要請した。だが、なかなか良いアイディアは出てこない。
 1社がしぶしぶ手を挙げた。
「今、IT業界ではクラウドが流行りです」

 「いまどきデータセンターを新設?」「うまくいくわけがない」「民業圧迫するだけ」という声も聞かれたが、一括交付金は使わなくてはならない。計画は転がるように走り出す。
 まず箱の建設が始まった。(公設データセンター)

建設したデータセンターを運用する会社を、県内IT企業がコンソーシアム方式で新たな会社を作った。

 クラウドシステムの開発が始まった。
 予期せず降ってきた予算による急ごしらえのプロジェクトには旗振りがいない。
 そのようなプロジェクトなので必然的に遅れに遅れ、交付金からの予算を使い尽くしてしまう。
 出資企業などから多額の追加資金や借金を得てクラウドシステムはなんとか形になったが、クラウドといえばAmazon, Microsoft, GMO, さくらインターネットというように、大手競合がひしめくクラウド市場に新参の小企業が入り込む余地はもうなかった。

 既存の県内データセンター企業もクラウドデータセンターには冷ややかだ。企画案が出された時点で、県内のデータセンター事業をやっている競合は、少ない需要を奪い合っている状況で、公設データセンターは民業圧迫となると警戒した。
 県内データセンターを相互接続し、相乗効果も期待して計画されていたが、うまくいかない。
 大きく産んでほとんど育たないクラウドサービスはシステムの保守コストも高く、身の丈にあわなかった。負債はどんどん膨らんでいく。そして、ついには破綻してしまった。

 この安倍政権による辺野古受け入れに対する見返り(あるいは懐柔工作)の交付金では、那覇市の龍柱の例もある(結局龍柱のほうは納期の遅れから一括交付金ではなく、那覇市の一般予算から支出された)。
 基地受け入れによって恩恵を受けたのは、データセンター建築を請け負った県外大手建設会社のみであった。
 このように米軍基地があるおかげで沖縄は儲かっているという印象は作られていくが、うまくいかないことも多いし、結局は本土企業に流れていってしまう。
 沖縄は基地の見返りに恩恵ではなく負債を得る。